”俺たちは最強の家族だ” 読書初心者にも読みやすいおすすめの小説 〜重力ピエロ〜
本当に深刻な事ほど軽やかに。家族愛に溢れたスタイリッシュな物語
普段、小説は読みますか?
読書家の人なら誰でも知っている作家に伊坂幸太郎さんという人物がいます
彼の小説は現実とファンタジーが程よく融合されているような作風で、物語自体も読みやすく、登場人物のウィットに富んだやりとりに思わず笑ってしまう事もあります
各所に張り巡らされた伏線に、見事な伏線回収は読み手を飽きさせません
そんな彼の作品の中でもとりわけ内容が重く、それでいて軽やかな作品がこの重力ピエロです
題名からではピエロの話かのように思いますが、ピエロは一切出てきません
空中ブランコで重力にも逆らうような、軽やかに振る舞うサーカスのピエロとを兼ねてのメタファーです
物語は2人兄弟
遺伝子に関する企業に務める兄である泉と、グラフィティアートを消す落書き消し屋の弟の春、定年を迎えた地味で普通のサラリーマンであった2人の父、が中心となって進みます
仲良しな家族ですが、弟の春は容姿端麗で芸術においても非凡な才能を見せます
地味な父からは似ても似つかない容姿と才能には秘密があります
実は弟の春は十数年前に起きた連続強姦魔との間でできた子だったのです
それでも”俺たちは最強の家族だ”と言い、産むことを選んだ父
事情を全て知った上で春を家族として受け入れている家族の愛の深さが描かれています
ある時、市内で連続放火魔が事件を起きるようになります
しかもその現場の付近にはグラフィティアートが残されています
その火事現場が、十数年前に起きたあの連続強姦魔の事件現場と見事に重なり始めます
誰が放火事件を起こしているのか、なぜあの連続強姦魔の事件現場と同じ場所にしか起きないのか
謎が謎を呼ぶスピーディーな展開に、最後は事の真相が浮かび上がってきます
複雑な環境で生まれた弟の春の葛藤や、苦悩
その春を取り巻く家族が包み込むような温かい物語です
小説をあまり読んだことが無い方も読みやすくて、心が温まる本当におすすめなので是非!!
岡田将生さん、加瀬亮さん、小日向文世さんら出演で映画化もされています